2007 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙初期のダストの物理化学進化とその観測および天体形成史に及ぼす効果の解明
Project/Area Number |
19740094
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野沢 貴也 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 学術研究員 (90435975)
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Keywords | ダスト / 超新星爆発 / 衝撃波 / 超新星残骸 / 第一世代星 / 超金属欠乏星 / 星間減光曲線 / 赤外線 |
Research Abstract |
超新星残骸中での衝撃波によるダストの破壊過程を取り扱い、宇宙初期の超新星爆発時に形成されたダストの進化と破壊効率、星間空間に供給されるダストの種類や質量、サイズ分布を明らかにした。衝撃波により掃かれた高温のガス中では、スパッタリングによってサイズの小さいダストが支配的に破壊され、サイズの大きいダストのみが星間空間へと放出される。また生き残ったダストの一部は、フォーワード衝撃波後面に形成された密度の高いガス中にトラップされ、そのダストの組成が超金属欠乏星で観測されるFe, Mg, Siの存在量を再現できる可能性があることを示した。 星間空間中に放出された各ダスト種のサイズ分布を基に、ダストによる紫外線線領域の星間減光曲線を計算し、高赤方偏移銀河での観測結果と比較した。その結果、計算された減光曲線は波長にほとんど依存せず、観測の不確定性の範囲内で高赤方偏移銀河の減光曲線と一致した。したがって本計算結果は、宇宙初期や若い銀河では、星間ダストの供給源として超新星爆発が支配的な役割を果たしていることの重要な証拠を与える。 Ib型超新星2006jcによって放出された物質中でのダスト形成計算を行い、この超新星では爆発後およそ50日という早い時期にダストが形成されることを明らかにした。さらに、赤外天文衛星AKARIによる爆発の約200日後の観測結果との比較を通じて、形成されるダストの種類、質量や温度について検討し、超新星爆発時でのダストの形成過程の解明に大きな進歩をもたらした。
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Research Products
(9 results)