2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
ZUBKO Yevgen Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別教育研究教員 (10435977)
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Keywords | light scattering / polarimetry / comets / dust particles / ice sublimation / Discrete-dipole approximation / irregular shaped particles |
Research Abstract |
彗星から射出されたダストの光散乱過程について研究を進めた。その結果以下の成果を得た。 1. 彗星を取りまくハローの内部に存在するダスト粒子は、比較的コンパクトな形状をしている。空隙率は、75%以下である。またダスト粒子の構成要素は、0.3ミクロンよりも大きいことが判明した。これは、従来言われていた0.1ミクロンという値に対しての修正をせまるものである。 2. またダスト粒子の化学組成として、屈折率(の実部)は1.5から1.6、吸収率(屈折率の虚数部)は0.02以下である。これは、ダストの生成に関して大きな制約となりうる。 3. 非球形粒子の光散乱過程を計算する手法discrete dipole approximation(DDA)法の適用限界について調べ、従来より、より大きな粒子に対して、また従来よりもより大きな吸収率を持つ物質(金属など)に対しても、DDA法が適用可能な場合のあることを示した。 4. また、DDA法の誤差要因に関しての研究を行った。境界面上では、主にDDAではなく、離散化したダイポールの大きさが、過大評価となり、全体の光学特性を過大評価してしまう傾向があったが、これは、理論から来るものではなく、境界表面を荒いメッシュで計算するという数値的な粒子の境界の取り扱いが問題であったことがわかった。これにより、境界面の粒子の配置の仕方を工夫することで、散乱計算の精度を向上させる可能性があることなどがこの研究から示唆された。これは、従来計算機の資源の問題から不可能であったと考えられるような大きな粒子(サイズパラメータで100以上)の散乱計算の可能性につながるもので、ミー領域から幾何光学近似にまでの理論的な橋渡しをすることにつながるという大きな成果であると言える。
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Research Products
(4 results)