2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早崎 公威 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 学術研究員 (30374218)
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Keywords | ブラックホール / 連星系 / 降着・降着円盤 / 銀河形成・進化 / 活動銀河中心核 |
Research Abstract |
最近、大きな銀河ほどその中心のブラックホール(BH)は大きいという、巨大BHと母銀河とが共進化していることを示す観測結果が得られた。この関係は、銀河同士の合体が中心のBH同士の合体成長を促すことを示唆している。さらに、階層的構造形成シナリオに照らすと、サブパーセクスケールでの「近接」バイナリーBHの形成は必然です。しかし、そのような近接バイナリーBHはこれまで同定されておらず、またどのように進化していくかも分かっていない。 銀河同士の合体した後、BH同士の合体過程は大きく三段階に分かれる。BH同士は、BHとその周囲の星との力学的摩擦で共通重心に落ち込み、重力波を放射して合体すると考えられている。ところが、星との力学的摩擦が効かなくなる時のBH間の距離は約1パーセク(1パーセク=3×10^<16>m)で、この距離から重力波放射によって合体する時間尺度は宇宙年齢を超えてしまう。したがってBH同士は合体できない、という矛盾を抱えてしまう。これは、ファイナルパーセク問題という宇宙物理学上の最重要未解決問題の内の一つである。本研究では、バイナリーBHとガス円盤との相互作用を考えることで、この問題に対する解を提案した。 さらに、バイナリーBHを取り囲む外周円盤から放射される光の時間変動性を解析的に調べた。バイナリーBHの潮汐ポテンシャルによって、外周円盤上に波が励起される。励起された波は、円盤上を伝播するがほとんどの波はすぐに散逸してしまう。しかし、一本腕と日本腕のモードは散逸せずに円盤上で捕獲される。これらの波は、円盤の形状、密度、温度、速度成分に影響与え、結果的に放射光に影響を与える。円盤から放射された光は、円盤の非軸対称性に応じて特徴的な周波数で周期的に変動することが世界で初めて示された。この結果は近接のバイナリーBHや、外周円盤に囲まれた近接連星系を同定するための一つの方法を与える。
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