2007 Fiscal Year Annual Research Report
太陽面活動現象の観測データを利用した電磁流体モデリング
Project/Area Number |
19740101
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
真柄 哲也 National Astronomical Observatory of Japan, ひので科学プロジェクト, 研究員 (00437196)
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Keywords | 宇宙科学 / 計算物理 / 自然現象観測・予測 / 太陽物理学 / モデル化 |
Research Abstract |
太陽面で生じる活動現象のモデル化を観測データに基づいて進めるという研究目的の下、活動現象と密接な関係を持つ物理過程の解明を目指してモデリングを行い、その一方で太陽観測衛星ひのでの高精度観測データを利用して現象発生の鍵となる観測的特徴を導くことを目指して研究を遂行した。具体的な研究内容は、活動領域を構成する黒点の形成過程に注目し、部分的に分裂した磁束管が太陽面へ浮上する過程を3次元数値シミュレーションにより再現することで、同一磁極を持つ小黒点の融合による黒点形成のモデル化に初めて成功した。融合に伴い太陽面上で発生するガスの流れや太陽大気中に形成される磁場構造の特徴を導出したことは、活動現象の発生メカニズムを理解する上での重要な知見につながり、今後観測データを用いて実環境での活動性を調べる研究への確かな第一歩となる。 また、ひのでが取得した太陽面上の時系列化されたベクトル磁場データを詳細に調べることで、フレアと呼ばれる太陽面爆発の前兆となる観測的特徴を導いた。それによれば、活動領域で見られる「磁場構造のねじれ」を定量化した量である磁気ヘリシティの進化曲線が重要な物理的情報を特ち、大規模なフレアではその発生前に磁気ヘリシティの進化に顕著なsaturationが存在することを見出した。このsaturationの物理的起原について、ねじれを持つ磁束管の浮上の観点から説明を与えた。この成果は、活動領域におけるベクトル磁場の進化を高い精度で取得できるひのでであればこそ得ることが出来たものであり、フレア発生に関して新しい予見方法を示したと言える。
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