2008 Fiscal Year Annual Research Report
分裂彗星核の非均質性から探る原始太陽系円盤中の微惑星移動
Project/Area Number |
19740107
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
河北 秀世 Kyoto Sangyo University, 理学部, 准教授 (70356129)
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Keywords | 彗星 / 太陽系 / 原始太陽系円盤 |
Research Abstract |
本年度は、シュバスマン・バハマン第3彗星の可視光分光データに基づいて、その核の非均質性を議論した。近赤外線波長域で得られた有機分子だけでなく、可視光領域に見照れるCN、C2、NH2なども含めて議論を行い、分裂前の状態との比較も行うことができた。その結果、 1. 分裂後の彗星核BとCは誤差範囲で一致する組成であった、 2. 分裂前の結果と比較することで、太陽系内を運動している間の経年変化の傾向について明らかにできた。 また、更に多くの彗星について、近赤外波長域のデータ・サンプルを増やすため、C/2004Q2(Machholz)彗星およびC/2001Q4(NEAT)彗星のデータ解析を行った。その結果、後者の彗星は過去のオールト雲彗星と同様の分子組成を示していたが、前者は、これまでに特異とされてきたグループと通常のノーマルなグループの中間に位置するメンバーであることが分かった。これにより、彗星の組成によるグループ分けにおいて、中間的なメンバーが存在することが明らかになり、分類そのものが離散的になるべきかどうかについて、疑問を投げかけることとなった。同様の結果は、特にH20やCH4といった分子の原子核スピン異性体存在比、そしてメタン分子の重水素/水素比についても明らかになっている(メタン分子の重水素/水素比については彗星における値を世界で初めて明らかにすることができた)。その結果、C/2004Q2(Machholz)彗星は他のノーマルな彗星よりもやや暖かな環境下で形成された可能性が高いことがわかった。
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Research Products
(7 results)