2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740112
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
太田 直美 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 宇宙航空プロジェクト研究員 (40391891)
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Keywords | 宇宙物理 / X線天文学 / 銀河団 / 高温プラズマ / X線分光 / ガスバルク運動 / 非熱的現象 / 宇宙構造形成 |
Research Abstract |
本研究は,宇宙最大の天体である銀河団に含まれる高温ガスの詳細なX線分光から,銀河団のダイナミックな進化を解明することを目指している。本年度は主に「すざく」衛星で取得した最大X線光度を持つ遠方銀河団RXJ1347-ll45のX線スペクトル解析から,ガス運動および温度構造の測定を行った。その結果,まず中心領域から放射される鉄輝線には熱運動から予想される幅以上の広がりはなく,ガス乱流運動の速度の上限値を1500km/sと求めた。加えて,過去に電波観測から指摘された高温のガス塊について,その温度が約24keVであることをX線分光という独立な手法で確認した。これは激しい衝突合体現象によるガス加熱が起きたという説を強く支持する。同時に有意な非熱的放射はないことがわかり,非熱的硬X線フラックスに初めて制限をつけることができた。これを電波シンクロトロン強度と比較することで,磁場強度が>0.02μGを推定した。今回の結果は遠方宇宙における激しい銀河団衝突現象とガスの物理状態の理解にとって重要であり,現在投稿論文を準備中である。また,ケンタウルス座銀河団中のガス運動探査を進めるため,サブ銀河団領域(Cen45)について「すざく」による追観測を実施した。現在,銀河速度分布から期待される視線速度1500km/sの運動の検証を目指してデータ解析を進めている。また,過去に「あすか」衛星とROSAT衛星を用いて構築した遠方銀河団サンプルから導かれる銀河団ガス進化の観測的描像について国際会議で口頭発表を行い,論文(査読有り)にまとめた。
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Research Products
(6 results)