2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740112
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
太田 直美 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 宇宙航空プロジェクト研究員 (40391891)
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Keywords | 宇宙物理 / X線天文学 / 銀河団 / 高温プラズマ / X線分光 / ガスバルク運動 / 非熱的現象 / 宇宙構造形成 |
Research Abstract |
本研究は、宇宙最大の天体である銀河団に含まれる高湿ガスの詳細なX線分光から、銀河団のダイナミックな進化を解明することを目指している。本年度は特に、最大X線光度を持つ遠方銀河団RXJ1347-1145について、「すざく」衛星によるブロードバンドX線スペクトルとChandra衛星の高分解能データの同時解析から、銀河団中の超高温ガスの温度を精度よく決定することに成功した。この超高温ガスの温度は約3億度であり、これまでに宇宙で知られる最も高温の熱的ガスの候補であるといえる。これは、銀河団が進化の過程で経験した激しい衝突合体によりガス加熱が起きたことが起源と考えられる。一方、非熱的放射は有意には検出されず、硬X線放射の強度について上限値を得た。これらの結果を投稿論文として発表し、かつ「宇宙一熱いガス」としてプレスリリースも行った。また新たに「すざく」で高温銀河団A2163のデータを取得し、この天体からの有意な硬X線放射をとらえた。現在、XMM-Newton衛星のデータと組み合わせながら、硬X線放射の起源解明を目指した解析を進めている。さらに、将来X線カロリメータが実現すると、宇宙の構造形成に伴う高温ガスのバルク運動や乱流が高い精度で直接検出でき、天体のダイナミックな進化の理解に大きな進展が期待されている。そこで、具体的にどのような精度で測定可能かを、いろいろな運動速度や天体の明るさなどを仮定してシミュレーションを行った。この検討結果をIXO国際会議で口頭発表した。また現在、Astro-H衛星についても同様の計算を行い、投稿論文を準備中である。
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Research Products
(6 results)