2008 Fiscal Year Annual Research Report
広帯域X線スペクトル観測によるブラックホール降着流のエネルギー解放バランスの解明
Project/Area Number |
19740113
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
久保田 あや Shibaura Institute of Technology, システム工学部, 講師 (00391938)
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Keywords | X線天文 / ブラックホール / 「すざく」衛星 / モデル計算 / 質量降着 / 質量放出 |
Research Abstract |
ブラックホール(BH)は物質を降着する過程でX線ガンマ線を放出し、静止エネルギーの最大10%(非回転BH)ものエネルギーを宇宙空間に放出する。同時に、X線スペクトルに観測される高電離の共鳴吸収線の観測からBHにおけるエネルギー解放機構には放射に加えて、質量放出が重要な役割を担うことが明らかになりつつある。 こうした状況をふまえ、本研究は、「すざく」衛星によるBHの広帯域X線ガンマ線スペクトル観測を行い、放射と質量放出によるエネルギー解放バランスを明らかにすることを目指している。 本年度は、すざくで観測した恒星質量BHであるはくちょう座X-1のlow stateのスペクトルを解析し、牧島らとともに逆コンプトン散乱を担う高エネルギー電子が2温度モデルで記述できることを示した。また、二つの超光度X線天体(ULX)NGC2403 source3およびM82X-1のすざくの観測から、ULXでも恒星質量BHと同様に状態遷移をすること、また逆コンプトン散乱が重要であることを示し (Miyawaki et al. Isobe et al.)、BHの連続スペクトルを理解する上で貴重な結果を得ることができた。同時に、すざくによる大マゼラン雲にある代表的な恒星質量BHであるLMCX-3のすざくによる観測をPIとして行い、現在解析を進めているところである。
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Research Products
(5 results)