2007 Fiscal Year Annual Research Report
中間・遠赤外線衛星データを用いた近傍楕円銀河の星間ダストの研究
Project/Area Number |
19740114
|
Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
金田 英宏 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 助教 (30301724)
|
Keywords | 赤外線宇宙観測 / 星間ダスト / 近傍楕円銀河 |
Research Abstract |
我が国の赤外線天文衛星「あかり」が平成18年2月22日に打ち上げられ,平成19年度中に本研究の観測対象である近傍楕円銀河の中間・遠赤外線観測を無事に完了した。また,米国赤外線天文衛星Spitzer衛星のGO3 proposal(PI:金田)による観測が終了し,18個の近傍楕円銀河の中間赤外線分光観測を実施した。これら「あかり」とSpitzer衛星の中間・遠赤外線衛星データを解析し,楕円銀河の星間空間中に多くのダストが存在することを示した。とくに,有機物質の一つである多環芳香族炭化水素(Polycyclic Aromatic Hydrocarbon:PAH)のスペクトルフィーチャーが存在することを発見した。また,このフィーチャーのバンド強度比が普通の星間空間で観測されるものと有意に異なることから,楕円銀河ではPAHの物理・化学状態が特異になっていることが示唆された。さらに,このPAHと遠赤外線ダストの空間分布がとても良く似ていることを発見し,両者の起源について強い制限を与えた。 これらの解析・研究成果について,国内外の研究会や学会で発表を行った。「あかり」で得られた成果のうち,巨大楕円銀河NGC1316の星間ダスト観測の結果については,米国の投稿雑誌"Astrophysical Jounal"で発表した。他の「あかり」成果についても論文投稿の準備を進めた。また,Spitzerで得られた成果についても論文にまとめ,"Astrophysical Journal"へ投稿した。楕円銀河以外でも,近傍渦巻銀河NGC2841,NGC2976の遠赤外線観測で得られた「あかり」の成果を,我が国の投稿雑誌"Publicatioms of the Astronomical Society of Japan(PASJ)"で発表を行った。
|