2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740115
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩野 浩一 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (20335293)
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Keywords | 中性子過剰核 / 対相関 / 平均場理論 / 双中性子相関 / BCS-BECクロスオーバー / 双極子励起 / 重イオン核融合反応 / 断熱近似 |
Research Abstract |
本研究の目的は、芯核に多数の中性子が結合した中性子過剰核の構造と反応の機構を明らかにすることである。これに関連し、今年度は以下の研究実績を得た。 1.芯核4Heに4つの殻外中性子が結合した8Heの構造を、対相関相互作用を考慮した平均場近似(Hartree-Fock-Bogoliubov法)を用いて明らかにした。4つの中性子のうち、スピン上向き・下向きをもつ2中性子対が強い対相関相互作用のため空間的にコンパクトな配位をとり、そのような双中性子対2つが比較的自由に運動をしているという描像を得た。これは、重い中性子過剰核において、双中性子対が核表面付近に凝縮しているということを示唆する結果である。 2.重い中性子過剰核の構造を系統的に記述するために、中性子と陽子の密度分布の差が関与するアイソ・ベクトル成分を持つ対相関相互作用を提唱した。また、その対相関相互作用を無限中性子物質に適用し、中性子物質におけるBCS-BECクロス・オーバー現象を議論した。2つの中性子は真空中では束縛状態を作らないが、中性子物質中では媒質効果により束縛状態を作りうることを指摘した。 3.中性子過剰核の典型的な例である11Liの双極子励起を3体模型を用いて記述し、対相関相互作用の効果や、外殻中性子の空間的分布の影響を議論した。得られた双極子励起スペクトルから外殻中性子の間の角度を見積もり、それが3体模型計算の結果と矛盾しないものであることを示した。 4.極低エネルギーにおける重イオン核融合反応に対して、断熱近似に基づく計算法を提唱した。この方法を用いると、最近測定された64Ni+64Ni系の核融合反応断面積の極低エネルギーにおける減少をきれいに再現できることを示した。
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Research Products
(14 results)