2007 Fiscal Year Annual Research Report
次期大型シンチレーションニュートリノ検出器のための新トリガスキームの研究
Project/Area Number |
19740117
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
榎本 三四郎 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (90400225)
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Keywords | ニュートリノ / シンチレータ / トリガ / データ収集 / カムランド |
Research Abstract |
この研究では、将来の超大型液体シンチレーション検出器を想定して,その内部で多発する放射線起源バックグランド事象を判別削減する方法を開発する.100キロトンを超える大きさの液体シンチレーション検出器が次期ニュートリノ検出器として盛んに議論されているが,このような大型検出器ではバックグランド事象が主に検出器周辺部分で非常に高レートに,同時多発的に発生する.多チャンネル高レートであればトリガ判断で事象判別を行うことが避けられないが,検出器内で同時多発的に事象が発生すると,従来のグローバルな構造のトリガロジックではその判別が難しい.この研究では,全チャンネルを緩やかに結合し,なんらかの量が伝達する場を回路的に構成し,その場の振る舞いの時間発展を解析することにより内部の事象を判断するという新しい着想でこの問題の解決を試みる.原理的には,線形微分方程式で記述される物理場は,同形の微分方程式で記述される電子回路系で模倣することができるはずで,研究の初年度である本年度は,事象判別という目的にふさわしい場の構成を行った.物理的アナロジからいくつかの場を構成し,コンピュータによる数値計算で場の時間発展を計算し,各点における反応時間や伝達信号振幅などの解析と調整を行った.また,その場と同じ微分方程式構造をもつ回路系を構成し,回路シミュレーションソフトウェアにより回路系上での場の振る舞いの解析をおこなった.また,ここまでは理想系での議論であったが,シミュレーション上の部品を実在部品に置き換え,現実部品での振舞いの解析を行った.この結果に基づき,来年度は実回路における原理検証実験を行う.
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Research Products
(1 results)