2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢向 謙太郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (50361572)
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Keywords | 荷電交換反応 / 二重ベータ崩壊 / 中性子ビーム / ガモフ・テラー共鳴状態 |
Research Abstract |
2ニュートリノ二重ベータ(2ν2β)崩壊は、自然界で確認されている現象のうち、最も稀なものである点で興味深い。2ν2β崩壊は、この遷移は弱い相互作用による二次の遷移と位置づけられ、遷移確率は、親核と中間核の間のガモフ・テラー(GT)型の遷移行列要素、娘核と中間核との間のβ型遷移行列要素から導出できる。ここで、GT型は、原子核の波動関数の空間成分が変化せず、(角運動量移行ΔL=0)、スピン・アイソスピン空間成分が反転(ΔS=ΔT=1)する励起モードである。本研究の目的は、構造に不定性が少ない、^<48>Caについて、実験の困難であった^<48>Ti(n,p)測定を行い、そのGT遷移強度分布を通して、理論計算に用いられる核内有効相互作用の精度を向上させることである。 今年度は阪大RCNPの(n,p)実験施設を用いて、ビームエネルギー300MeVにおける^<48>Ti(n,p)測定を行った。まず、酸化物^<48>TiO_2粉末を還元し、得られた粉末^<48>Tiをプレスして厚さ0.4mm,大きさ2×3cm^2の均一な板3枚を得た。この標的を用いて散乱角0°から12°における二階微分断面積を統計精度1%/1MeV・1°ビン、エネルギー分解能1.2MeVで得ることに成功した。これに対して予備的な多重極展開解析を行い、高励起状態へのGT遷移強度分布を導出することに初めて成功した。中間核^<48>Scの高励起エネルギー領域に、GT遷移強度が存在し、現存する殻模型計算では説明がつかないことがわかった。
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