2008 Fiscal Year Annual Research Report
水チェレンコフ型ニュートリノ検出器の精密時間補正の研究
Project/Area Number |
19740129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大林 由尚 The University of Tokyo, 宇宙線研究所, 助教 (50345055)
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Keywords | 素粒子実験 / ニュートリノ振動 / 光電子増倍管 |
Research Abstract |
水チェレンコフ型ニュートリノ検出器であるスーパーカミオカンデ(以下SK)は壁面に取り付けた1万個以上の光電子増倍管で捕えたチェレンコフ光の強度と時間情報をもとにニュートリノ反応を再構成する。各増倍管の時間測定性能は特にSKの有効体積の決定精度に直結し、平成21年にビーム照射を開始するT2K実験に備えて徹底的に時間測定性能を高めておくことは大変重要である。 本研究では、平成20年度はまず光電子増倍管の応答時間補正のためのレーザー光の発射時間の測定精度を高めるため、光電子増倍管より応答速度の速い光電管を用いた。この精密補正の結果、データ取得用のエレクトロニクス(ATM)の時間測定が今まで観測されていなかった非線形性を持つことが判明した。この非線形性を測定して補正することにより、これまで原因のわからなかった10cmほどあった再構成したニュートリノ反応点の真の値からのずれを2cm以下まで小さくすることができた。また、SKの信号読み出し用のエレクトロニクスを全面更新したのち、新エレクトロニクス(QBee)を用いて上記の非線形性がないことを確認した。 また、平成21年度に本研究の為に購入した機器を用い、新エレクトロニクスに対して徹底的に時間測定に対する較正を行った。 これらの結果から反応点決定精度に起因する有効体積の系統誤差はこれまでのSKでは2%程度であったものが1%以下に抑えることができると考えられ、T2K実験を精密実験として成り立たせる基礎となると考えられる。
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Research Products
(11 results)