2008 Fiscal Year Annual Research Report
京速計算機に向けた場の量子論のための計算手法とデバイスの開発
Project/Area Number |
19740134
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
出渕 卓 Kanazawa University, 自然科学研究科, 研究協力員 (60324068)
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Keywords | 格子場の理論 / 素粒子物理 / モンテカルロ計算 / 大規模シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の継続で真空角度の入った量子色力学(QCD)配位の作成をKEKの大型シミュレーションプログラムの支援を得て行った。トポロジー電荷が0からずれた配位を多数作成し、その上に定電場を掛け、陽子中性子などの核子の永久電気双極子を測り、なぜ量子色力学の範囲ではのCP対称性の破れが小さいのかという素粒子物理長年の謎(Strong CP問題)に定量的な光を当てるにとを目指した。モンテカルロシミュレーションの生成確率を正定値にするために、真空角を純虚数に解析接続することと有限周期的境界条件の下で以下に一定で弱い電場の作り方を工夫し、両方ともに計画通りに出来た。現在、計算した電気双極子における格子特有のカイラル対称性の破れに起因する系統誤差を抑えようとしている段階である。 グラフィックプロセッサ(GPU)を場の理論の計算に応用するにとに関してであるが、市場調査や理論的な研究と一世代前のGPU上で実際の実験計算を行いパフォーマンスを確かめた。倍精度が実行可能なNVIDIA社のGPUワークステーションTESLA S1070-400に関しては、発売が大幅に遅れたが年度内に導入が出来、場の理論の大規模計算の研究に供する計画である。 この他、場の理論の計算手法の開発としてクォーク・反クォークの生成消滅が2回以上起きている量子振幅(非結合ループ)が係わる計算として、eta'中間子の質量計算を行った。通常行われている、2つのクォークループ間の相関関数を測る方法の他に、QCD配位生成段階でループの片方をモンテカルロの生成確率に押し込めてしまう新たな計算手法を試し次両者で互いに無矛盾な結果を出すことを確かめた。
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