2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740135
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
奥山 和美 Shinshu University, 理学部, 助教 (70447720)
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Keywords | 超弦理論 / 重力の量子論 / インスタントン / BTZブラックホールの足し上げ |
Research Abstract |
本年度は,超弦理論における時空の出現という研究課題に即して,特に超弦理論から示唆される重力の量子的な性質について研究を行った。実際の素粒子物理の現象と密接に関係すると期待されている超対称性が4次元で数えて1あるいは0の場合には,対応する超弦理論には非常に巨大な数の準安定な真空が存在し,その全体像,いわゆる真空のランドスケープを理解することが重要である。そこで,この真空のランドスケープの理解への第一歩として,低エネルギーでの重力近似における準安定な真空の間のトンネル現象を考察した。私はColeman-DeLucciaの解析を拡張し,薄い壁の近似を全く使わずに,重力場とスカラー場の結合した系での厳密なインスタントン解を構成することに成功した。この系のポテンシャルは不安定なDブレーン上に存在するタキオン場のポテンシャルとして現れることが知られており,タキオン場を使った宇宙のインフレーションの模型に応用することが出来ると期待される。 次に,超弦理論の低エネルギー極限を取らずに、重力の量子的振る舞いを超弦理論から理解する目標で,多数のヘテロ的弦が重なった系を考察した。Vafa-Wittenの分配関数はそのままではBTZブラックホールの足し上げには見えないが,N=4超対称ゲージ理論のS双対性から従う分配関数のモジュラー変換性に着目し,いわゆるFareytail展開というものを用いると,Vafa-Wittenの分配関数がBTZブラックホールの足し上げの形に書き直せることが分かった。
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