2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740135
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
奥山 和美 信州大学, 理学部, 助教 (70447720)
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Keywords | F(uzz)理論 / ファジーなdel Pezzo曲面 / 箙ゲージ理論 |
Research Abstract |
本年度は、非可換な4次元サイクルに巻きついたDブレーンについての研究を行った。この研究は、HeckmanとVerlindeによる「F(uzz)理論」のアイデアに触発されたもので、台湾精華大学の古内一之氏との共同研究である。F理論による大統一理論の構成においては、4次元サイクルに巻きついた7ブレーンが重要な役割を果たすことが知られている。Heckman-Verlindeは、このようなサイクルには一般にB場のフラックスが貫いているため、開弦から見た幾何学としては非可換幾何学が自然に現れ、それが現象論的に興味深い結果を導くことを指摘した。そこで我々は、del Pezzo曲面の上の錐として表される非コンパクトなカラビ・ヤウ多様体を走査するDブレーンの上に実現される箙ゲージ理論の古典解として、del Pezzo曲面に巻きついたDブレーンを構成することに成功した。この構成法は、Belinson quiverあるいはBondal quiverと呼ばれるものの一つの表現になっており、数学的にも非常に興味深いものである。また、湯川結合の階層性の問題など、素粒子現象論への応用にも重要な意味を持つと期待される。F理論を用いたGUTにおいては、湯川結合はブレーンの交差によって表されるが、ファジーなブレーンの交差を考えることにより、可換な場合には難しかった湯川結合の階層構造を導くことができる可能性があり、我々のファジーなdel Pezzo解はF(uzz)理論によるGUTの具体的な構成に向けた大きな一歩であると考えている。
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