2009 Fiscal Year Annual Research Report
平均場を越えたアプローチによる中重核の励起メカニズムの探求
Project/Area Number |
19740146
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
東山 幸司 Chiba Institute of Technology, 工学部, 助教 (60433679)
|
Keywords | 原子核構造 / 殻模型 / 生成座標法 / 核子対殻模型 / 2核子コア結合模型 / 中重核 / 三軸非対称変形 / シッフモーメント |
Research Abstract |
本研究の成果は,質量数80領域の偶偶核に対して生成座標法により数値解析を行い,三軸非対称変形の重要性を明らかにしたことである。研究代表者等は,この領域の偶偶核・奇核に対して現象論的な有効相互作用を用いた殻模型計算を行っている。本研究では殻模型の研究と同じ相互作用を用い,幅広い核種のエネルギー準位や電磁遷移の実験値を再現した。波動関数を解析することにより,原子核の軸対称変形の効果を取り入れることで質量数80領域の偶偶核のイラストバンドを再現できること,三軸非対称変形の効果を取り入れなければガンマバンドを再現できないことを確認した。 また,質量数130領域の原子核に対してシッフモーメントを計算すると共に,^<129>Xe原子の電気双極子モーメントを評価した。中重核領域のシッフモーメントの計算は,これまで平均場模型でしか行われてこなかったが,本研究では平均場を超えた枠組みである核子対殻模型により数値解析を実行した。原子核の波動関数は現象論的な有効相互作用を用い,幅広い核種のエネルギー準位や電磁遷移の実験値を再現するものを用意した。この計算結果により,質量数130領域のシッフモーメントは中性子の波動関数の寄与が陽子のよりも大きくなり,さらに原子核の集団運動の効果を考慮しなければならないことを明らかにした。 さらに本研究では,質量数100領域の奇奇核に現れるダブレットバンドに対し2核子コア結合模型を適用し,幅広い核種のエネルギー準位や電磁遷移の実験値を再現している。計算で得られた波動関数を解析したところ,中性子1個と陽子1個の相互作用は四重極相互作用の効果が大きいことを明らかにすると共に,集団運動の効果はガンマバンドと呼ばれる状態の効果が小さいことを確認した。
|