2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740149
|
Research Institution | Daido Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉田 浩見 Daido Institute of Technology, 教養部, 講師 (80367648)
|
Keywords | ブラックホール熱力学 / ブラックホール蒸発 / ブラックホールのエントロピー |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、ブラックホールを構成する重力のミクロ状態が従う統計性(統計力学)を明らかにすることである。そのために、ブラックホールをマクロ系とみなした熱力学、特にエントロピーの表式を精密に確立することが必要である。ところで従来、あらゆる事象の地平面に対して、それを熱力学系とみなした場合のエントロピーは常にその面積の4分の1倍で与えられると考えられてきた(Bekenstein-Hawking則)。このBekenstein-Hawking則は厳密にはブラックホール地平面だけが存在する場合のみで証明されており、宇宙論的な事象の地平面も存在する場合では証明されていない。しかし宇宙論的地平面がある場合にも正しい仮説として大部分の研究者に信じられてきた。そこで平成19年度の本研究では、ブラックホール地平面と宇宙論的地平面が共存する場合(Schwarzschild-de Sitter時空)の熱力学形式の確立を試みた。具体的なテクニックとしてはユークリッド化した作用積分の方法(有限温度の場の理論を単純に曲がった時空に拡張した方法論)を用いた。また理論構成における指針として、Yorkが構成したSchwarzschildブラックホール熱力学とめ整合性を保持することを最優先方針とした。その結果、宇宙論的地平面に対してはBekenstein-Hawking則が成立しないことが結論された。この結果が物理的に正しければ、従来信じられていた仮説と正反対であり、ブラッリホール研究においてそれなりのインパクトはあると考える。現在、専門雑誌に論文を投稿中であり、査読者の報告を待っている途中である。
|
Research Products
(6 results)