2007 Fiscal Year Annual Research Report
無分散リングにおける3次元レーザー冷却によるビーム結晶化と引き出しに関する研究
Project/Area Number |
19740152
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
百合 庸介 Japan Atomic Energy Agency, 放射線高度利用施設部, 研究員 (90414565)
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Keywords | クリスタルビーム / ビーム冷却 / 空間電荷効果 / 蓄積リング / 分子動力学シミュレーション / 運動量分散 |
Research Abstract |
本年度は、本予算により購入したハイパフォーマンスコンピュータで高速計算環境を整備し、極限まで冷却され結晶化したイオンビームの振る舞いを分子動力学シミュレーションにより解析した。まず、運動量分散のない"無分散リング"のモデルとして、京都大学のイオン冷却蓄積リングS-LSRを含む二つのリングを想定し、レーザー冷却法をモデル化した冷却力により様々な種類のクリスタルビームが生成可能であることを確認した。次に、生成されたクリスタルビームのエミッタンスの時間発展から算出したビームの加熱率を基に、安定性を評価した。加熱率は、極低エミッタンス状態では極めて小さくビームは安定であるが、エミッタンスの増加と共に徐々に増大し、結晶構造が壊れるときに最大となる。加熱率の最大値はある程度以上のビーム強度では一定で、チューンが小さいほど低下する傾向があることが分かった。また、クリスタルビームを安定に引き出すためには、リング内で結晶状態が安定である必要がある。このためには、各四重極電磁石の励磁誤差を0.1%オーダー以下に抑える必要があることが判明した。本研究により、ビーム冷却実験において重要なパラメータである、クリスタルビームを生成するために必要なレーザー冷却力、および、安定に維持するための電磁石の誤差の許容範囲が明らかとなった。また、並行して、当機構のシステム計算科学センターのサポートにより、開発した分子動力学コードの高速化改造にも着手した。スカラチューニングと並列化により、購入したコンピュータ(デュアルコア)で、約1.9倍に高速化され、より効率的な研究が可能になった。
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