2008 Fiscal Year Annual Research Report
無分散リングにおける3次元レーザー冷却によるビーム結晶化と引き出しに関する研究
Project/Area Number |
19740152
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
百合 庸介 Japan Atomic Energy Agency, 放射線高度利用施設部, 研究職 (90414565)
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Keywords | クリスタルビーム / ビーム冷却 / 空間電荷効果 / 蓄積リング / イオンビーム |
Research Abstract |
平成19年度に引き続き、本補助金によりハイパフォーマンスワークステーションを整備し、より効率的な冷却イオンビームの分子動力学シミュレーションが可能となった。19年度までの成果を基に、無分散蓄積リングのモデルを再検討し低ベータトロンチューン化を図った。まず、レーザー散逸力を簡略化した冷却シミュレーションによりビームの冷却過程や冷却後の特性を調べた。チューンが低いため以前よりも弱い横方向冷却力であっても結晶化が可能であることが分かった。これにより、3次元冷却に必要となる縦方向と横方向の運動を結合するための結合空洞の電場を弱めることが可能になり、結合空洞の設計・製作がより容易になる。また、結晶化に必要な冷却力は運動エネルギーの他、イオンの価数や質量数に依存しないことも分かった。共鳴結合法を適用するにはビームは高周波でパンチされていなければならないが、高周波空洞の導入により冷却ビームの安定化に必要となる外部集束場の周期性は低下する。このため、無分散リングであっても線密度が十分低くない限り、極低エミッタンス状態のビームは不安定であることが分かった。他方、集束場の高い周期性が維持されるよう空洞を周期的に導入することも理論上可能だが、共鳴結合に必要な差共鳴条件が満たされなくなるため3次元冷却はほとんど不可能であった。クリスタルビームの引き出しに関するシミュレーションでは、はじめにさまざまな種類の安定な結晶が生成可能な有限の運動量分散を持つ通常のリングを想定した。引き出し機器によるキックとその後の輸送系の集束場の非周期性のために、エミッタンスが容易に増大することが分かった。線密度の極めて低い1次元結晶構造を除いて、結晶構造を維持したままの輸送は困難であった。
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