2007 Fiscal Year Annual Research Report
s過程終端核Pbの中性子捕獲反応が拓く超金属欠乏星内重元素合成
Project/Area Number |
19740153
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
瀬川 麻里子 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (00435603)
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Keywords | 核物理 |
Research Abstract |
銀河の歴史を探るため、最新の天文観測により観測された初期宇宙に近い星のPb等の重元素の元素組成の存在比は従来の元素合成模型では説明できない事が分かってきた。特に重元素ではその相違が顕著であり、重元素が生成される恒星内での中性子捕獲反応断面積の情報は妥当な模型を構築する上で不可欠でありその反応機構の理解も欠かせない。 本研究は上述の恒星内元素合成模型(s-過程元素合成)の最終端Pbに着目し、その同位体存在比を評価するために必要な中性子捕獲反応断面積を測定することが目的である。又本研究には、宇宙核時計に関する研究でkeV中性子捕獲反応を高精度で測定する際に我々が開発した不連続即発γ線検出法を用いる。この手法は原子核反応からの捕獲γ線のエネルギーを精度良く決定するため他の元素からのγ線バックグラウンドと識別でき、断面積の高精度測定が可能である。2007年度は不連続即発γ線検出法を用いた実験システムの構築を行いその精度を検証することに成功した。下にその概要を記す。 1)ガンマ線及び中性子バックグラウンドを効率よく遮蔽する計算を行った。それに基づき設計されたPb遮蔽を施したアンチコンプトン型NaI検出器を、原子力機構標準照射施設に設置した。 2)1)で開発した検出システムを用い中性子ビーム照射実験を行った。まず、測定システムの確認のため断面積が精度3%で決定している^<197>Auと高エネルギーの不連続ガンマ線を発するAl試料からのガンマ線エネルギースペクトラムを測定することに成功した。 3)濃縮Pb(n,γ)測定に向け、天然のPb試料を用いてテスト測定を行い、206,207Pbによるガンマ線ピークを確認することに成功した。2008年度から濃縮Pb同位体試料を用いた精密測定を行う。
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