2007 Fiscal Year Annual Research Report
インビームγ線核分光による中性子捕獲断面積導出法の開発
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19740154
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
牧井 宏之 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (20425573)
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Keywords | 代理反応 / インビームγ線核分光 / 中性子捕獲反応 / 恒星内元素合成 / 核変換技術 / NaI(T1)検出器 |
Research Abstract |
中性子捕獲反応断面積は原子核物理学・天体核物理学等の基礎科学だけでなく、原子力開発の分野でも重要な物理量である。どちらの分野でも鍵となるのは放射性核種の中性子捕獲断面積であるが、現在の技術では試料の入手性や強い放射能によるバックグラウンド等の問題から、全ての核種で必要な精度を達成できているわけではない。本研究課題では直接測定の問題点を回避して中性子捕獲反応断面積を決定するための代理反応法と呼ばれる手法を開発する。この手法では中性子捕獲反応を核子移行反応等の別の反応で模擬し、生成された原子核がγ線放出により崩壊する確率を求める。本年度は中性子分離エネルギー以上の高励起状態を効率よく観測するため、東京工業大学理学部が所有する大立体角・高効率のコンプトン抑止型NaI(T1)検出器を日本原子力研究開発機構(JAEA)タンデム加速器施設に移設した。γ線と同時に放出される中性子に起因したバックグラウンドが測定に影響を与えることが予想されるが、これはγ線と中性子の飛行時間の差を利用した飛行時間法を用いて除去する。移設した検出器は中性子起因のバックグラウンドを除去するために最適な位置に設置した。標的散乱槽をはじめとした専用ビームラインの整備、核子移行反応により生成される核種の選択と生成核の励起エネルギーを確認するための散乱粒子検出器の試作、Pt-196標的の製作等を行った。196Pt(6Li,4He)198Au反応で反応断面積が既知の197Au(n,γ)198Au反応を模擬するため、JAEAタンデム加速器からのLi-6ビームを用いた予備実験を行った。取得したデータの解析は終了していないが、散乱粒子に起因したバックグラウンドが予想以上に強く、その原因を現在究明している。
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