2009 Fiscal Year Annual Research Report
インビームγ線核分光による中性子捕獲断面積導出法の開発
Project/Area Number |
19740154
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
牧井 宏之 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究職 (20425573)
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Keywords | surrogate法 / インビームγ線分光 / 中性子捕獲反応 / 恒星内元素合成 / 核変換技術 / Si△E-E検出器 |
Research Abstract |
放射性核種の中性子捕獲反応断面積σ_<(n,γ)>は原子核物理・天体核物理等の基礎科学だけでなく原子力開発の分野でも重要な物理量であるが、試料の入手性や試料からの強い放射能に起因したバックグラウンド等の問題から、全ての核種で必要な精度を達成できているわけではない。本研究課題では中性子ビームを用いた直接測定の問題点を回避してσ_<(n,γ)>を導出するための手法(surrogate法)の開発を目指している。 surrogate法で求めたσ_<(n,γ)>が中性子ビームを用いた直接測定の結果をどの程度の精度で再現しているかを確認するため、本研究課題では^3Heビームを^<196>Pt標的に照射してσ_<(n,γ)>が既知の^<197>Au(n,γ)^<198>Au反応を模擬する^<196>Pt(^3He, p)^<198>Au反応測定を目指して開発を進めてきた。今年度は特に、(^3He, p)反応で生じる陽子(p)のエネルギー決定に必要なSi △E-E検出器を冷却するための装置の改良に取り組み、^<241>Am-α線源で△E、E検出器ともに分解能100keV程度を達成できていることを確認した6今後は、日本原子力研究開発機構(JAEA)タンデム加速器で加速した^3Heビームを用いた測定を進め、中性子エネルギーに換算して200keV毎にσ_<(n,γ)>を決定する予定である。さらにJAEAの理論グループとsurrogate法の中性子捕獲反応への適用性について検討を進めた結果、surrogate反応と中性子捕獲反応の反応機構の違いが代理反応法で導出したσ_<(n,γ)>の精度に大きく影響することが分かった。両者の反応機構の差異を打つ消すため、2つ標的を用いた(^3He, p)反応測定を行い竜σ_<(n,γ)>比を導出することを検討している。
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