2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740155
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岸本 功 The Institute of Physical and Chemical Research, 川合理論物理学研究室, 基礎科学特別研究員 (60399433)
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Keywords | 開弦の場の理論の古典解 / 超弦の場の理論の古典解 / marginal解 / 非摂動論的真空 / タキオン凝縮 / Schnabl解 |
Research Abstract |
1.開弦の場の理論において最近構成された新たなnonsingular currentに対するmarginal解は、実はidentity stateと呼ばれる特別な弦場を用いた単純な解に、運動方程式の「解を解に写す変換」を施すことによって得られることを指摘した。Schnablのタキオン凝縮解もこの変換のある極限で表わされることもわかった。この種のmargina1解はBerkovitsのWess-Zumino-Witten型の超弦の場の理論の運動方程式のmarginal解にも拡張されていたが、この超弦の場合もidentity stateに基づく単純な解からの「解を解に写す変換」を施すことで得られることを示した。これにより最近の解析解の統一的な見方ができた。また、ここで発見した解を解に写す変換を用いれば単純な解から複雑な解を生成でき、物理的に興味深い新たな解を発見できる可能性がある。 2.開弦の場の理論のゲージ不変量として、開弦場とon-shell閉弦状態との内積が提案されているが、このゲージ不変量をタキオン凝縮に対するSchnabl解について計算した。このSchnabl解は弦の場の理論の運動方程式の解として実パラメータλを含む形で構成された解析解である。この解のパラメータλが1になるところでのみ、このゲージ不変量が非零の有限な値をもつことが、解析的評価および数値的評価でわかった。この結果は、パラメータλが1になるところでのみ解が非自明である、つまりpure gaugeではない、という従来のポテンシャルの高さの計算結果と整合している。この研究によって、Schnabl解のphantom項と呼ばれる、正則化によって現れる微妙な項の役割も明白になった。これは開弦の非摂動論的真空のまわりの物理の研究に示唆を与える結果である。
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