2009 Fiscal Year Annual Research Report
カイラル対称性を持つ2+1フレイバーの動的格子QCDとフレイバー物理への応用
Project/Area Number |
19740160
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
松古 栄夫 High Energy Accelerator Research Organization, 計算科学センター, 助教 (10373185)
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Keywords | 格子QCD / フレイバー物理 / カイラル対称性 |
Research Abstract |
本年度は2+1フレイバーの動的クォーク効果を含む格子QCDのシミュレーションについて、24^3×48の格子配位の生成を行いながら、これまでに生成した16^3×48格子配位でさまざまな物理量の測定を行った。また非自明なトポロジーを持つ配位により、トポロジカルチャージの変動による効果の見積もりを行った。これらにより、物理量に影響を与える有限格子サイズ効果の見積もりがより信頼性のあるものとなる。既に存在している2フレイバーでの格子配位での測定も継続した。今年度は真空偏極と結合定数、パイオンの形状因子、フェルミオンの双線形演算子の非摂動繰りこみ、についての成果が公表された。他のフレイバー物理の解析に必要な物理量についても計算が進められている。また、有限温度状態への、厳密なカイラル対称性を持つ作用の適用を開始した。これは相転移の性質がカイラル対称性によって支配されることから、厳密なカイラル対称性が重要な意味を持つと期待される。 これらに加えて、近年標準理論を超えた物理の候補として注目されている、テクニカラー理論を格子シミュレーションで扱うための研究を行った。これはQCDとほぼ同じ手法で調べることができるが、カラー数、フレイバー数、フェルミオンの表現が異なる。我々はカラー数が2の場合について、基本表現と随伴表現でのフェルミオンに対し、厳密なカイラル対称性を持っ作用を適応することを目指した準備研究を行った。このような研究に必要となる、結合定数のスケール依存性を調べる方法についても開発を行った。これらは厳密なカイラル対称性を持つ理論の応用として非常に興味深い課題であり、本研究課題の発展として研究を継続していきたい。
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