2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740161
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
後田 裕 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 助教 (10342601)
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Keywords | B physics / Belle / FCNC / New Physics Search / LRSM / KEKB |
Research Abstract |
平成19年度の間に、B→ρ^0γに於ける、時間に依存したCP対称性の破れS_<CP>を世界で初めて測定した。その成果は、日本物理学会や国際会議で発表され、論文はPRLにて出版された。このモードは、b→d遷移にγの放射が伴うもので、その分岐比は小さく、b→s遷移からの事象(B→K^<*0>γ)が背景事象としてたくさん混入するため、測定が非常に困難である。そのため、これまで、日本のBelle実験でも、アメリカのBaBar実験でも測定ができていなかった。得られた非対称度の値は、S_<CP>=-0.83±0.65±0.18,A_<CP>=-0.44±0.49±0.14と、まだまだ統計誤差が大きいが、今後、データ量を増やすことにより、測定精度を上げることが可能である。この、B→ρ^0γのS_<CP>は、B→K_Sπ^0γと組み合わせることで、寄与する新物理の診断に役立つ。両者とも、標準理論では光子が強く偏極しているために、S_<CP>の値がほぼ零になることは共通だが、B→ρ^0γの場合は、top quarkが寄与するloopによってあらわされる遷移振幅の位相が、B^0-反B^0混合の位相とキャンセルするために、S_<CP>の値が二重に零に制限される。そのため、新しい物理のパラメータに依っては、B→K_Sπ^0γのS_<CP>が有限で、B→ρ^0γのS_<CP>が零となるなど、特徴を抽出することが可能となる。本研究の成果により、その技法を確立し、測定の先鞭をつけたことは大いに意義深い。 一方で、B→K_Sρ^0γにおけるS_<CP>の測定も、Li氏との協力により遂行し、発表に向けて準備を進めている。こちらは、S_<CP>に関してはB→K_Sπ^0γと同様、光子の偏極により抑制されている。この測定により、hadronic effectの異なる崩壊において、S_<CP>を重複的に確認できること、また、実効的に統計量を上げることができることに意味がある。
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Research Products
(4 results)