2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノのCP対称性の破れの探索のための大強度ニュートリノ生成標的の開発
Project/Area Number |
19740162
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中平 武 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 助教 (30378575)
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Keywords | ニュートリノ振動実験 / 大強度陽子加速器 |
Research Abstract |
大強度陽子加速器を用いたニュートリノ振動実験で、実験感度を向上させてCP対称性の破れの探索を行うために、陽子ビームを増強するうえで必要となる黒鉛粉末標的の開発研究を行った。 黒鉛標的は陽子ビームの照射をうけて陽子と反応し、ニュートリノの親となる二次粒子を生成する装置である。陽子ビーム強度を増強するにあたって、標的内部で発生する反応熱による熱衝撃が増大するため、標的の耐久性が大きな障害となる。本研究では、焼結黒鉛により構成されている現行の標的中心部を黒鉛粉末に変更した、熱衝撃耐性の高い新たな標的の開発を行った。 黒鉛粉末標的では、陽子ビームの照射を受ける部分の内部に空間を設けることで、反応熱による熱膨張を可能にして熱衝撃を緩和することをねらっている。一方で、熱伝導率が減少して冷却効率が悪化することが懸念され、その場合には約3秒間のビーム照射間隔の間に十分冷却されないために平均温度が上昇してしまう。黒鉛が高温になると昇華・酸化による劣化が懸念される。そのため、黒鉛粉末標的の可否を判断するには、熱伝導率、冷却効率を評価し、実際のビーム照射の状況下での温度を推定して、標的の酸化・昇華による消耗量を見積もる必要がある。 平成21年度には、黒鉛粉末標的の熱伝導、冷却効率を実際に測定する加熱・冷却試験をすすめた。前年度に製作した模擬的な熱負荷となるヒーター仕込んだ標的モックアップに、冷媒となるヘリウムガスを流すためのヘリウム容器が必要を製作し、さらにヘリウムガスを流すためのヘリウムガスの圧力・流量制御系の設計・構築をすすめた。
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