2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740164
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村上 公一 The Institute of Physical and Chemical Research, 川合理論物理学研究室, 協力研究員 (00400698)
|
Keywords | 弦理論 / 弦の場の理論 / D-ブレーン / BRST不変性 |
Research Abstract |
本研究は、弦理論における非摂動論的励起(ソリトン)であるD-ブレーンを、閉弦の場の理論を用いて記述し、その性質をより深く理解することを目的としている。今年度の主要な研究成果は以下の2点にまとめられる: 1.OSp不変な閉弦の場の理論において、BRST不変な第二量子化状態としてD-ブレーン状態を提案し、それが正しく弦理論のdisk振幅をnormalizationも含めて再現することを示した。これはD-ブレーンのtensionを閉弦理論の枠内で決定したことを意味しており、大変興味深い結果である。また、平行なD-ブレーンが複数枚、同一時空点に存在する場合に解析を拡張した。このとき、BRST不変性の要請により、D-ブレーン上の開弦のtachyon場と考えられる自由度からVandermond行列式が導かれることを示した。これは複数枚のD-ブレーンにより開弦セクターに期待される非可換ゲージ群の性質を反映していると考えられ、D-ブレーンに付随する開弦の自由度を理解するうえで重要な結果である。 2.OSp不変な弦の場の理論の作用は、通常の共変的な弦の場の理論ものとはかなり異なった構造をしている。そのため、この理論においてどのようにしてS-行列を計算するかは、自明ではなかった。我々は上述の1.で述べたようなdisk振幅を計算する必要からこの問題を考察した。我々はBRST不変な観測可能量を定義し、その質量殻外でのGreen関数を計算し、その外線の質量殻上のpoleの留数が通常の弦理論のS-行列と一致していることを示した。この解析により、OSp不変な弦の場の理論におけるS-行列の計算処方を確定した。 以上の結果を研究論文にまとめ、発表した。
|