2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740164
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村上 公一 The Institute of Physical and Chemical Research, 川合理論物理学研究室, 協力研究員 (00400698)
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Keywords | 弦理論 / 弦の場の理論 / D-ブレーン / BRST対称性 / 超対称性 |
Research Abstract |
本研究は、弦理論における非摂動論的励起(ソリトン)であるD-ブレーンを、閉弦の場の理論を用いて記述し、その性質を深く理解することを目的としている。今年度の主要な成果は以下の通りである: 1. 昨年度の当該研究補助金による研究において、OSp不変なボソン的な閉弦の場の理論を用いて、BRST不変な或る第二量子化の状態を構成し、これがD-ブレーン状態であることを提案した。そして、その証拠として、この状態を用いた計算により弦理論のdisk振幅を正しく再現することを示した。その成果を受けて、今年度は、開弦の次オーダーの振幅、すなわち円環振幅を我々の提案したD-ブレーン状態が正しく再現することを示した。円環振幅においては、弦の世界面がモジュライを持ち、S-行列はこのモジュライ空間上の積分として与えられる。弦の場の理論を用いて散乱振幅を計算する際には、このモジュライ空間上の積分において、積分範囲がモジュライ空間の全領域を過不足なく覆うか、また積分の測度が正しく再現されるかが問題となる。今回の我々の結果は、これらの条件を正しく満たしており、我々の提案したD-ブレーン状態の正当性の非自明な証拠を与えている。この結果は研究論文にまとめ、発表した。 2. 上記の解析は、ボソン的な弦理論におけるD-ブレーンに対してなされた。次に、この解析を超弦理論のD-ブレーンに対して拡張することを試みた。このためには、超対称な閉弦の場の理論を用いる必要があるが、これはこれまでに様々な試みがあるものの、確立した理論が存在しない。そのため、我々は、まず超対称な閉弦の場の理論を構築することに取り組み、現在この研究を遂行中である。 BRST変換に対して、弦の結合定数の1次までで不変な三点相互作用頂点関数を、NSセクター、Rセクターそれぞれに対して構成したことなどの現段階までの成果について、日本物理学会の秋季大会において報告した。
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Research Products
(4 results)