2008 Fiscal Year Annual Research Report
エックス線および核ガンマ線観測による雷電場での粒子加速メカニズムの解明
Project/Area Number |
19740167
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
土屋 晴文 The Institute of Physical and Chemical Research, 牧島宇宙放射線研究室, 基礎科学特別研究員 (70415230)
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Keywords | 粒子加速 / γ線 / 雷雲 / 雷活動 |
Research Abstract |
これまでの柏崎刈羽原子力発電所構内での観測により、冬の雷雲が電子を10MeV以上に加速できる天然の粒子加速器であることを明かした。そこで、夏の雷雲も粒子加速器かどうかを探るため、2008年には岐阜県の標高2770mにある乗鞍宇宙線観測所で、夏季雷活動からの放射線観測を行った。その結果、4例のバーストを捕らえることに成功した。そのうち9月21日の真夜中に得られたバーストは雷放電にはまったく同期せず90秒はど続き、光子のみならず電子をも含んでいたことがわかった。得られた光子スペクトラムは10MeVまで伸び、それとモデルとの比較により、光子は90mはど離れたところから飛来した制動放射γ線とわかった。さらに観測された電子の大部分は、雷雲中の電場で20MeVまで加速された電子が雷雲を抜け出し、検出器に飛来したものと解釈できることを示した。これらの結果は、夏の雷雲も粒子加速器である証拠である。これらの結果をまとめ、Phys. Rev. Lett.に投稿し、査読中である。 2008年も冬季の雷活動が活発になる11月中旬より柏崎原発で観測を続けている。12月に当初からの目的であった、携帯端末を利用してのデータ転送を可能たした。その結果、12月23日と25日に得られた放射線バーストのデータを現地に行かず、取得できた。特に前者のイベントでは、雷放電に同期して光子(>40keV)と電子(>400keV)が通常時の10倍以上のカウントで得られた。
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Research Products
(9 results)