2007 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム中での光ポンピング法によるAl、In原子のスピン偏極生成法開発
Project/Area Number |
19740170
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古川 武 The Institute of Physical and Chemical Research, 本林重イオン核物理研究室, 基礎科学特別研究員 (30435680)
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Keywords | 光ポンピング / レーザー核分光 |
Research Abstract |
本研究は、原子核構造研究をはじめ基礎物理研究、量子情報研究など現代物理学になくてはならない原子スピン偏極の生成を広範な元素に対して可能とすべく、超流動ヘリウム中という特異な環境下に原子を植え込み光ポンピング法を行うという新しい偏極生成技術を確立することにある。本年度は、まず表記のIn原子に対して偏極生成を試みたが、超流動ヘリウム中における光の吸収波長が今まで知られていた値と異なり、当初計画していた光源を用いることができないとわかった。新たに光の吸収波長を測定し、光源の準備を行ったが、測定した吸収波長に不定性が多く、偏極に至ることができなかった。 そこで、光の吸収波長がInに近く、また原子構造からInと同じく偏極生成の可能性が高いAg原子に対して、同様に光ポンピングによる偏極隼成を試みた。まず超流動ヘリウム中における光の吸収波長を測定しなおし、こちらはこれまで知られていた値と同じ結果が得られた。そこで実際に、Ag原子の吸収波長に一致したレーザーを使いて超流動ヘリウム中における光ポンピング法を用いた偏極生成を実施、十分な偏極を確認することに成功した。レーザーパワーなど実験条件を最適化し、最大65%以上という高い偏極度を得ることに成功した。また100%の完全偏極に到達しないのは照射レーザーが完全に円偏光となっていなかったためとわかり、今後の改善により100%の完全偏極に到達可能と考えられる。
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Research Products
(6 results)