2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740177
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 修一 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (30282685)
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Keywords | スピンホール効果 / 量子スピンホール効果 / 白金 / エッジ状態 / トポロジー |
Research Abstract |
金属の白金においては室温でも大きなスピンホール効果が実験的に観測されている。この起源を探るため、バンド構造に起因する内因性スピンホール伝導率を第一原理計算により計算した。その結果実験で観測されたものと同程度の大きなスピンホール伝導率が得られ、実験で観測された値は内因性と考えても矛盾がないことが判明した。またこの巨大なスピンホール効果は、フェニルミエネルギー付近に存在するバンド交差によるものであることが分かった。スピン軌道相互作用が同程度の他の金属ではバンド交差がフェルミエネルギー近傍にないため、スピンホール効果は白金ほど大きくないと予想され、これは大谷らの実験結果とも符合している。このように、バンド構造に起因したベリー位相が金属でのスピンホール効果に重要な役割を果たしていることが徐々に解明されてきている。このことはバンド構造のデザインにより、スピンホール効果を巨大化できることを意味し、デバイス形状のデザインと組み合わせることによりスピンホール効果の巨大化へと結びつくと考えている。 また量子スピンホール系は、バルクでは絶縁体であるがエッジが金属的でありスピン流を運ぶと理論的に言われている新奇なトポロジカル相である。この物質探索等のために、量子スピンホール相と通常の絶縁相との間の量子相転移を一般的な枠組みで議論した。その結果、3次元系の場合には一般にこの間にギャップレスの相が挟まることが分かった。2次元の場合はそのようなことは起こらない。こうした相違は、3次元の場合にはギャップが閉じる点がモノポールというトポロジカルなものであることに起因している。
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Research Products
(11 results)