2007 Fiscal Year Annual Research Report
単一電子トランジスタを用いた量子ホール系の局所核スピン偏極検出
Project/Area Number |
19740179
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川村 稔 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特任助教 (60391926)
|
Keywords | 核磁気共鳴 / 単一電子トランジスタ / 量子ホール効果 / 超微細相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、核スピン偏極にともなう電子系の微弱な化学ポテンシャル変化を、単一電子トランジスタを用いて測定することである。平成19年度は、単一電子トランジスタ素子の作製と測定系の立ち上げをおこなう計画だった。量子ホール効果測定用のホールバー素子上に、電子線描画と斜め蒸着法を用いて単一電子トランジスタを作製する。単一電子トランジスタとして、アルミニウムおよびアルミニウム酸化膜を材料に用いた。トンネル障壁となるアルミニウム酸化膜の膜質に問題があり、単一電子トランジスタ素子作製が計画通りに進まなかった。膜質を改善することにより、現在では適当な抵抗値をもったアルミニウム単一電子トランジスタの作製が可能になっている。また今年度は、核スピン偏極による化学ポテンシャルの変化量の数値計算による見積りもおこなった。この結果、単一電子トランジスタで核スピン偏極による変化を検出するためには、50%程度の大きな核スピン偏極率が必要であることが分かった。大きな核スピン偏極率を得るために、量子ホール効果ブレークダウンによる核スピン偏極方法の最適条件の探索をおこなった。この実験結果から、ホールバー型試料の縦横比を大きくし、細長い試料の方が大きな核磁気共鳴信号が得やすいことが明らかになった。この結果は、単一電子トランジスタを用いた核スピン偏極測定の研究をおこなう上で重要な指針となる。
|
Research Products
(4 results)