2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740180
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
越野 幹人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (60361797)
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Keywords | 物性理論 / 半導体物性 / ナノチューブ・フラーレン |
Research Abstract |
多層グラフェンの電子特性について重点的に研究を行った。 (i)多層グラフェンの電子構造の分割一般のN層のグラフェンの電子構造を考察し、系全体が里層または2層グラフェンに類似した小構造に分割できることを示した。これにより多層グラフェンの様々な物理量の計算が単層または2層のそれに帰結され、層数依存性の系統的な議論が可能になった。 (ii)上記(i)の方法を用いて軌道反磁性を計算した。単層グラフェンはフェルミエネルギー零で大きな反磁性を持つことが知られている。多層グラフェンにおいては、層数が奇数の場合にのみ、単層グラフェンに類似したバンドが存在し、これが大きな軌道反磁性をもたらすことを示した。偶数層グラフェンとは一般に奇数層に比べ反磁性が小さくなるが、バンドの三角歪み効果(trigonal warp)が反磁性に一定の寄与をもたらすことが示された。 (iii)同様の方法を用いて光学特性を計算した。2層グラフェンでは光の周波数が層間相互作用のエネルギーを超えたときに光吸収率が変化する。多層グラフェンは上述の通りいくつかの疑似的2層グラフェン構造を持ち、それぞれが類似の寄与を与えることを示した。疑似2層グラフェンの「層間相互作用」に相当する量はバンドごとに異なり、層の数とバンドのインデクスの単純な関数としてかけることを示した。これは光学吸収測定の周波数依存によって直接実験的に検出される重要な物理量である。さらに磁場中の電子構造を調べ、磁気光学特性を計算した
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Research Products
(6 results)