2007 Fiscal Year Annual Research Report
グリーン関数理論を用いたカーボンナノチューブの電子構造の解明
Project/Area Number |
19740181
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
是常 隆 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (90391953)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 第一原理計算 / GW法 / ホウ素 |
Research Abstract |
1、ホウ素ドープカーボンナノチューブの電子構造の解明 カーボンナノチューブの金属化、超伝導化の可能性を探るため、ナノチューブにホウ素を注入した系の電子状態計算を行い、ホウ素ドープナノチューブの安定性や、バンド構造、状態密度等を調べた。その結果、ホウ素は細いチューブの方が入りやすいことや、ホウ素をナノチューブ内における不純物としてみたときの不純物準位の深さ、超伝導への転移のしやすさの指標のひとつであるFermi面上での状態密度のホウ素濃度依存性などが明らかになった。近年、ホウ素注入によるナノチューブの伝導性の制御や超伝導の可能性は実験的にも調べられてきているが、まだまだ不明の点も多いのが現状であり、我々の計算結果は、これからのホウ素ドープナノチューブの方向性、可能性を指し示す非常に重要な結果であるといえる。 2、Si,Geにおける休心正方構造を持つ新奇物質のGW計算 Si,Geの半導体としての重要性は、今さら言及するまでもないことであり、様々なことが研究しつくされてきた。しかしそのような状況の中、我々のグループはSi,Geの準安定状態として、体心正方構造を持つ状態が安定に存在しうることを見出した。中でも本研究ではGW計算によりエネルギーギャップを見積もり、体心正方構造をとったときのギャップ値が通常のダイアモンド構造をとった場合と比較して小さくなること、特にGeの場合金属となる可能性があることを示した。この結果はSi,Geを半導体として活用していく上で大変興味深い可能性を指し示したといえる。
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Research Products
(9 results)