2009 Fiscal Year Annual Research Report
グリーン関数理論を用いたカーボンナノチューブの電子構造の解明
Project/Area Number |
19740181
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
是常 隆 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (90391953)
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Keywords | 超伝導 / 第一原理計算 / フラーレン / 電子格子相互作用 / グリーン関数理論 |
Research Abstract |
1. 第一原理計算に基づく超伝導転移温度の計算 近年、炭素関連物質で比較的高い超伝導転移温度を持つ物質が次々見つかってきている。そこで、これらの物質においても予言力を持つグリーン関数を用いた転移温度計算手法を開発し、その有効性を評価した。特に、炭素系では最も高い転移温度を持つフラーレンの超伝導を対象として研究を行った。その結果、適当なクーロン相互作用を仮定することで、実験の結果を再現できること、また、電子格子相互作用とクーロン相互作用の競合、あるいは超伝導と反強磁性の競合についても議論が可能なことを示した。今後カーボンナノチューブなどのより複雑な炭素系あるいはその他の様々な系においてより高い転移温度を持つ系を探す際、本研究で開発した手法は非常に重要な役割を果たすと考えられる。 2. 第一原理計算からモデルへのマッピング 第一原理計算の結果を用いてグリーン関数理論を使った研究を行う際、モデルへのマッピング、特にクーロン相互作用の第一原理的な評価が重要となる。そこで、cRPAという手法を用いたクーロン相互作用の評価およびその値と実験との比較存ソーダライトの系に適用して行った。その結果、それまでに行われてきた研究では不十分であり本研究の結果により初めて実験の定性的な理解が得られる精度での評価が可能となることが分かった。 これらの研究により、カーボンナノチューブの電子構造のより詳細な解明、特に電子格子相互作用やクーロン相互作用の寄与を理解する上での土台が整ってきたといえる。
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