2007 Fiscal Year Annual Research Report
活性不純物をドープしたコア/シェル型半導体ナノ粒子におけるスピン間相互作用
Project/Area Number |
19740183
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石墨 淳 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (10346314)
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Keywords | 不純物ドープ / コア / シェル型半導体ナノ粒子 / 発光ダイナミクス / 単一ナノ粒子分光 / マンガンイオン |
Research Abstract |
溶液中での化学的なナノ粒子合成法の一つである逆ミセル法を用いて活性不純物をドープしたコア/シェル型半導体ナノ粒子を作製し、その光学特性の評価を行った。試料としてEuイオンをドープしたZnOナノ粒子、MnイオンをドープしたZnSおよびCdSナノ粒子を作製し、いずれもドーパントであるEuやMnイオンの発光が明確に観測される試料が得られた。 特に、MnイオンをドープしたCdSナノ粒子をZnSで覆ったコア/シェル型ナノ粒子について、Mn発光ダイナミクスおよび単一ナノ粒子発光のMn血濃度依存性について調べた。発光ダイナミクスの測定においては、Mn濃度の上昇に伴いMn発光の短寿命化が観測された。簡単なモデルとの比較から、この短寿命化したMn発光は交換相互作用で結合したMnペアによるものであることが明らかになった。また、単一ナノ粒子の発光測定では、非常に低濃度の試料においては明確な発光明滅現象が観測されるが、Mn濃度が上昇すると発光明滅現象は観測されなくなるという結果が得られた。通常の光学系を用いた発光測定では、低Mn濃度の試料では母体ナノ粒子の発光が主に観測される。これに対して、Mn濃度が上昇すると母体の発光はほとんど観測されず、Mn発光が主に観測される。このことから、単一ナノ粒子の発光測定で観測される発光明滅現象は、母体ナノ粒子の発光においてのみ観測され、Mn発光では観測されないことがわかった。不純物ドープによって発光の明滅現象を制御できる可能性が示唆された。
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