2008 Fiscal Year Annual Research Report
活性不純物をドープしたコア/シェル型半導体ナノ粒子におけるスピン間相互作用
Project/Area Number |
19740183
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石墨 淳 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (10346314)
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Keywords | 不純物ドープ / コア / シェル型半導体ナノ粒子 / マンガンイオン |
Research Abstract |
半導体ナノ粒子への不純物ドープにおいて、不純物のナノ粒子表面への析出が問題となっていたが、ナノ粒子のコア/シェル型化によってこの問題を解決してきた。コア/シェル型ナノ粒子における不純物の分布状態を調べるため、MnイオンをドープしたCdSナノ粒子をZnS層で覆ったコア/シェル型ナノ粒子において、コア/シェル比を制御した試料のMn発光のスペクトル測定を行った。MnイオンはCdSのCdを置換した場合と、ZnSのZnを置換した場合では、結晶場(Mn-Sの結合距離)の相違から発光ピークエネルギーに差が見られる。作製した試料では、シェル層が薄い場合はCdSにドープした場合と同様のMn発光が観測されたが、ZnS層を厚くしていくと発光ピークのシフトが起こりZnSにドープした場合のMn発光ピーク近づいていくという結果が得られた。しかし、シェル厚を増加しても完全にZnSにドープした場合のスペクトルとは一致せず、CdSとZnSの中間的な値で飽和する傾向を示した。このことから、コア/シェル型ナノ粒子では、MnイオンはCdSとZnSの両方の結晶場を等しく受けるコア/シェル界面に偏析していることが明らかになった。次に、Mnイオン間およびMnと励起子との相互作用によって起こる光学特性の探索を試みた。磁気円二色性(MCD)測定を行い、励起子準位のゼーマン分裂幅がドープしたMnイオンとの相互作用により増大することが確認された。このゼーマン分裂幅のMn濃度依存性において、Mn濃度1〜2%程度までは分裂幅は増加していくという結果が得られた。しかし、この濃度以上では、分裂幅はMn濃度と共に減少する傾向が見られた。これは、Mn濃度の増加に伴い反強磁性結合したMnペアが生成されることで、Mnの磁気モーメントが相殺され励起子のゼーマン分裂に寄与しなくなるためであることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)