2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740184
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
武田 さくら Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (30314537)
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Keywords | 表面電子状態 / 角度分解光電子分光 / 強相関電子系 / 表面超構造 |
Research Abstract |
本年度は計画通り以下の2点を行った。 1.低温角度分解光電子分光用マニピュレータの製作。 低温角度分解光電子分光用マニピュレータについてカスタマイズの打ち合せの後発注し、組み立て、配線、回転軸調整を行った後、既存の光電子分光装置への取り付けまでを終了した。これにより、低温にて高エネルギー分解能の測定が出来るようになった。また同時に光電子分光で用いるHe励起紫外光源と試料の間にAl薄膜を抜き差しできるよう、装置の改造を行った。これにより光源で発生する汚染物による試料の汚染が避けられるため、測定に時間をかけよりS/N比の大きなデータを取得することが可能となった。 2.上記のマニピュレータ既存の装置を用いたSi(111)表面上に形成される7×7構造と5×5構造の電子状態の詳細測定。 これまで用いていた室温マニピュレータを用いて室温にて7×7構造と5×5構造の電子状態の詳細を測定し、フィッティングによって近接した表面電子状態バンドの分離を行った。その結果、7×7構造ではフェルミレベル近傍のS1バンドが3本のバンドから成り立っているという結論が得られた。これはS1バンドが電子を5個収納しているという報告と一致するものである。5×5構造はS1バンドが電子を3個収納していると報告されているため、2本のバンドから成り立っていると考えられるが、室温で測定されたデータのフィッティングでは2本のバンドに分離できなかった。これは室温での測定であったため、格子振動によってピーク幅が大きいデータしか得られないため、エネルギー差の小さい近接するピークが分離できなかったためである可能性がある。今回立ち上げたマニピュレータを用いて低温にてより高エネルギー分解能の測定を行う必要がある。
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