2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740184
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
武田 さくら Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (30314537)
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Keywords | Si(111) / Pb / イルカリ土類 / ARPES / RHEED / 電気伝導度 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、Si(111)7×7及び5×5DAS構造の電子状態を角度分解光電子分光(ARPES)を用いて調べるために必要な高不純物濃度シリコンにおいて、表面近傍のキャリア密度を、反転層中の量子化準位から見積もった。その結果、表面近傍のキャリア密度が表面清浄化の過程で減少することが判明した。減少の原因として表面清浄化過程の1250℃での高温処理によって表面近傍で不純物密度が減少することが考えられる。そこで不純物濃度の減少を防ぐことを目的に、大気中で水素終端表面を作製し、超高真空中で1250℃の高温処理を経ずに清浄表面を作製することを試みた。その結果、高温処理をせずにある程度清浄な表面を得ることが出来たが、シリコンカーバイドなど表面汚染物を完全に除去することは出来なかった。また、この不純物の減少は、不純物元素種や、シリコン面方位を変えても起こることを実験によって明らかにした。Si(111)上へのPb初期吸着過程における原子構造と電子状態の変化を、高速電子線回折(RHEED)と電気伝導度測定により調べた。その結果、基板温度が室温から170℃まででは、0.5原子層以下の領域で、鉛原子はSi(111)7×7周期を保持したまま、規則的に吸着することが分かった。蒸着中の構造変化に伴い、電気伝導度の変化が観測された。光電子分光法の結果と比較した結果、電気伝導度の変化は吸着による空間電荷層中のキャリア密度の変化では説明できないことが分かった。電気伝導度の変化の原因は、表面電子状態の変化によるものであると結論づけた。
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