2007 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル顕微鏡によるスピン分解局所状態密度の可視化
Project/Area Number |
19740185
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
鷺坂 恵介 National Institute for Materials Science, ナノ計測センター, 主任研究員 (70421401)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / スピン偏極 / 表面ナノ磁性 |
Research Abstract |
本研究では、単一スピン検出を可能にするスピン分解局所状態密度計測法を目指ざし、まずスピン偏極STM技術を確立することを目的とした。そのため平成19年度の研究計画として、磁性探針作製技術を確立すること、および作製した磁性探針を用いて磁性表面からスピン偏極信号を検出することを挙げた。磁性探針および磁性表面を作製するために電子ビーム蒸着装置を購入し、既存のSTMシステムへ導入した。磁性探針は、電解研磨で先鋭化したタングステン探針に鉄薄膜を蒸着して作製することとした。鉄薄膜の作製に先立ち、蒸着速度の評価を実際に単結晶タングステンおよびシリコン表面に蒸着後、STM観察することで行った。また、磁性探針のスピン偏極度を評価するために、磁性表面が必要であるが、面内でスピン偏極したCr(100)および面外でスピン偏極したFe/W(110)を評価サンプルとした。Cr表面では清浄化過程における加熱処理によって窒素原子の偏析が著しく、清浄な表面を得るために数ヶ月を要した。また、タングステン表面の清浄化にも、2000℃以上の加熱が必要であるが、このような高温加熱を実現させるための装置改造と評価に数ヶ月を費やすこととなった。これらの試行錯誤の結果、本年度の終わりにはなんとか磁性探針のスピン偏極度評価を行える状態まで研究を進めることができた。平成20年度は、継続してCrおよびFe/W表面のスピン偏極イメージングを成功させ、さらに水素終端されたシリコン表面に分散させた鉄原子のスピン検出に挑戦していく予定である。
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