2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19740194
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安塚 周磨 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (80382034)
|
Keywords | 異方的超伝導体 / ギャップ構造 / ジョセフソン磁束 / 磁束フロー抵抗 / 磁束ダイナミクス |
Research Abstract |
強相関電子系において、BCS超伝導体とは異なるギャップ構造をもつ異方的超伝導体が発見されており、そのギャップ構造は比熱、NMR、STM、熱伝導率等により実験的に調べられてきた。しかしこれらの実験手法を圧力下で行うことは難しく、しかも圧力下で異方的超伝導がしばしば出現することから、圧力下で超伝導ギャップ構造を決定するための実験手法の確立が強く望まれている。このような背景のもと、申請者は異方的超伝導体における磁束フロー抵抗の磁場方位依存性とギャップ構造の関係を明らかにすることを目的として、すでにギャップ構造が明らかにされている有機超伝導体κ-(ET)_2Cu(NCS)_2の磁束フロー抵抗の磁場方位依存性を詳細に測定し、ギャップ構造と磁束ダイナミクスとの関係を調べてきた。20年度は、19年度に整備した測定系を駆使して本格的な測定を開始した。物質・材料研究機構において、κ-(ET)_2Cu(NCS)_2の磁束フロー抵抗の磁場方位依存性を様々な磁場強度で調べた。これまでの実験から13テスラの強磁場で見出されていた磁束フロー抵抗の四回対称性は、8テスラ以下の磁場でほとんど消失してしまうことが新たに明らかとなった。四回対称性消失の理由として、磁場誘起の磁束スメクチック液晶相-磁束液体相転移の可能性を検討している。また、見出された四回対称性は、κ-(ET)_2Cu(NCS)_2のギャップ構造を仮定することで定性的に理解できることが分かった。今後は、磁束フロー抵抗とギャップ構造についての理論的および定量的な検討が必要であると思われる。
|
Research Products
(4 results)