2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドアンビルセルを用いた超高圧・極低温磁化測定装置の開発と応用
Project/Area Number |
19740196
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田山 孝 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (20334344)
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Keywords | 磁化 / 圧力実験 / ダイヤモンドアンビル / 強相関電子系 / 異方的超伝導 |
Research Abstract |
(1) 本年度はNiCrAl製ピストン・シリンダー型圧力セルとインデンターセルの性能テストをMPMS(Quantum Design社製)の磁化測定装置を用いて行った。その結果, NiCrAl製ピストン・シリンダー型圧力セルでは2GPaの圧力を, インデンターセルでは3GPaの圧力を低温で発生することができ, キャパシタンス式ファラデー法による磁化測定の利用に目処が立った。一方ダイヤモンドアンビルセルについては希望する性能をもった設計に困窮し, 今後の課題として残された。 (2) 充填スクッテルダイト化合物PrFe_4P_<12>の6.5Kでの二次相転移によってどのような歪みが起きているのかを明らかにするため, キャパシタンス法による熱膨脹測定を行った。その結果, 0.1Kの温度まで立方晶構造が保たれていることが分かった。このことはA相がスカラー型秩序であるとする最近提案されたシナリオを強く支持する。我々はまた横磁歪の磁場角度依存性の測定も行った。その結果, (001)面および(1-10)面内で磁場の向きを回転させると横磁歪はいずれも2回振動を示すことがわかった。一方, このような結果はT_h対称性の結晶場に基づいた数値計算によって半定量的に再現することができることがわかった。したがって, 今回の実験結果はPrFe_4P_<12>の結晶構造がT_h対称性を持つことの直接的証拠であると考えられる。また今回の実験結果は, A相および非秩序状態の結晶場基底状態がΓ_1であることを強く示唆する。このことはA相が多極子秩序であるとするモデルでは単純には理解できず, A相の秩序変数についてはさらなる研究が必要であることが分かった。
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