2007 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線光電子分光を用いた強相関酸化物界面の直接電子状態観察
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19740199
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀場 弘司 The University of Tokyo, 大学院・ 工学系研究科, 助教 (10415292)
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Keywords | 強相関系 |
Research Abstract |
強相関物質の人工超格子やデバイス構造における埋もれた界面の電子状態を直接観察し、その界面に誘起される特有の物性の起源を解明していくことを目的として、検出深さの大きい硬X線光電子分光を強相関酸化物薄膜に適用した。界面の電子状態を測定する前段階として、まず酸化物薄膜自体の電子状態を精確に理解する必要があるため、格子定数の異なる基板上にLa_<1-x>Sr_xMnO_3薄膜を成長し、薄膜化した際の基板からのエピタキシャル歪みが電子状態に与える影響について調べた。その結果、歪みのない薄膜と、圧縮歪みを受けた薄膜、引っ張り歪みを受けた薄膜で、それぞれ大きく異なる電子状態をとることが明らかになった。この電子状態の変化は、八面体の歪みによる強的軌道秩序状態と、それに付随する強磁性-反強磁性転移によるものであるということが明らかになった。 また、今後界面電子状態測定を行う上で重要となる、斜入射・斜出射配置での光電子測定の試験を行った。その結果、従来の直入射・斜出射配置での測定と比較して、10倍以上の信号強度の向上が確認された。これにより、斜入射・斜出射配置での角度走査が可能になれば、迅速に角度依存性測定を行うことが可能であることが示され、来年度から行う酸化物薄膜ヘテロ界面の電子状態深さ方向依存性測定への足がかりが示された。
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