2008 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線光電子分光を用いた強相関酸化物界面の直接電子状態観察
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19740199
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀場 弘司 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (10415292)
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Keywords | 強相関系 |
Research Abstract |
トンネル磁気抵抗(TMR)素子としての応用が期待される、強相関ペロプスカイトMn酸化物La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3(LSMO)とSrTiO_3(STO)絶縁層の界面におけるデッドレイヤー形成のメカニズムを解明するために、STO/LSMO/STOの超構造を作製し、その硬X線光電子分光測定を行った。ペロブスカイト(100)面のLSMO/STO界面には、MnO_2/SrO界面とLa_<0.6>Sr_<0.4>O/TiO_2界面の2種類の異なる界面構造が存在し、通常の手法でSTO/LSMO/STO超構造を積層した場合には、上部界面と下部界面で異なる界面構造をとる。そのため、上部界面にLa_<0.6>Sr_<0.4>OTiO_3を1層だけ挿入することにより、両界面を同一のLa_<0.6>Sr_<0.4>O/TiO_2界面に制御した。この超構造において、LSMO膜厚を変化させ、光電子スペクトルにおける界面状態の寄与を変化させることにより、界面電子状態を抽出することに成功した。光電子スペクトルを詳細に解析することにより、界面からおよそ3層にわたって、フェルミ準位上に状態密度がない絶縁層が存在していることが明らかになった。この起源については、LSMOのMnイオンに対する過剰ホールドープや、格子ミスマッチによるイオンの変位などが考えられるが、界面構造を反転させた超構造や、基板を変えて格子ミスマッチの状態を変化させた超構造などを作製し、同様の測定・解析を行っていくことにより、明らかにすることが出来ると考えられる。
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