2008 Fiscal Year Annual Research Report
粒子表面の静電場制御による金ナノ粒子の磁性発現機構の解明
Project/Area Number |
19740204
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山本 良之 Akita University, 工学資源学部, 准教授 (70322120)
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Keywords | 磁性 / ナノ材料 / 物性実験 / 表面・界面物性 / 金属物性 |
Research Abstract |
本研究では有機分子で修飾された金ナノ粒子表面の環境を改質することにより, 金ナノ粒子に生じる特異な磁気偏極現象の起源を調べ、ナノ粒子の磁性の制御に向けた展開を目的として行った。 金ナノ粒子表面を有機分子で修飾することで、極性官能基は金表面との界面に電気二重層を形成するが、その電気分極は真空準位にずれを起こし、結果として金の仕事関数に変化が生じる。紫外光電子分光装置によって金の仕事関数の変化量を測定することで、金ナノ粒子と修飾分子の界面に生じる電気分極を定量的に調べたところ、修飾分子としてポリアリルアミン、ポリアクリルニトリルのような官能基に極性をもつ高分子を使用した金ナノ粒子の紫外光電子分光スペクトルはいずれも参照物質の金薄膜より低エネルギー側へのシフト、すなわち仕事関数の減少が観測された。また、ドデカンチオールのような共有結合性の強い分子で修飾した場合も仕事関数の減少が観測され、高分子で修飾した場合よりシフト量が大きいことが分かった。従来のモデルでは、金ナノ粒子表面からチオール基への電子移動によって金ナノ粒子に5dホールが形成されて磁性が発現する機構が提案されていたが、この場合金ナノ粒子表面が正に帯電し、チオール基側が負に帯電するため真空準位のシフトは正となって仕事関数は増大するはずである。これは、ドデカンチオールのアルキル鎖と硫黄原子間の電気二重層による分極が、金表面と硫黄原子間の分極に比べて非常に大きいことで、実効的に負のシフトとなったためと考えられる。これらを考慮し、それぞれの修飾分子で観測された仕事関数シフト量とXMCDピーク強度との相関の検討を行って磁性発現機構を調べた。
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Research Products
(3 results)