2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体における質量ゼロのディラック粒子に対する電子相関効果の理論
Project/Area Number |
19740205
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 晃人 Nagoya University, 高等研究院, 特任講師 (80335009)
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Keywords | 分子性導体 / ゼロギャップ状態 / ディラック電子 / 電子相関 |
Research Abstract |
α-(BEDT-TTF)2I3のバンド構造を再現する拡張ハバード模型に基づき、ゼロギャップ状態におけるスピン密度波を解析的および数値的手法により研究した。ゼロギャップ状態の平均場解における動的スピン感受率をサイト表示RPAを用いて調べると共にギャップ方程式を解いてスピン密度波転移温度を調べた。弱い3次元性が転移温度の上昇やネスティングベクトルに強く影響を与えることを解明した。しかし磁場の方向に対する転移温度の依存性は実験を十分に説明するに至らなかった。この結果は今後ゼロギャップ状態の低温領域および磁場中で観測される絶縁体相のメカニズムを解明してゆく上で有用な知見を与えるものである。また、これと平行してα-(BEDT-TTF)2I3以外の分子性ゼロギャップ物質探索に向けてゼロギャップ状態の出現条件に関する理論的研究、ゼロギャップ状態における電荷不均化の役割と不純物効果の研究、関連物質β"-(BDA-TTP)2I3、β"-(DODHT)2PF6の電子状態の研究を行った。これらの結果により分子性導体におけるゼロギャップ状態の出現および消滅に対して電子相関効果が重要な役割を果たしてることが明らかとなってきた。
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