2007 Fiscal Year Annual Research Report
ビスマス系遷移金属酸化物の強相関絶縁相における誘電特性と絶縁体金属転移の研究
Project/Area Number |
19740212
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
真木 一 Saga University, 佐賀大学・理工学部, 准教授 (10359945)
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Keywords | 強相関電子系 / 物性実験 / 誘電体物性 / 自己組織化 |
Research Abstract |
今年度に得られた研究成果は以下のものである. 1.希薄ホール濃度Bi2212単結晶において,複素誘電率の面間成分の測定から絶縁体金属転移に関する知見を深めた.試料のポストアニール条件を変化させることで誘電特性には明確な差異が生じる.これは基本的には系のキャリア濃度に依存すると考えられるが,過剰酸素が関与する結晶性の影響も否定できない.そこで,Caサイトを置換した希土類元素種の依存性についても測定を進め,キャリア濃度と乱れの影響とを包括的に捉えた知見を目指している. Bi2212の比較参照物質として,Bi系Co酸化物の単結晶試料を育成した.この系において電気伝導性および誘電特性を測定したところ,面内の電気伝導度の発達と相関して面間方向に誘電成分が重畳されることを見出した.ミスフィット結晶構造や強相関相互作用の影響もふまえて,次年度も引き続き,この現象の理解を進める予定である. 3.希薄ホール濃度Bi2212で指摘される自己組織的な電子状態の普遍性を調べるため,YBCO単結晶の低温STM測定を行った.Bi2212において報告されたものと同様の1次元短距離的な電荷秩序を観測したが,その起源や類似性については引き続き検証を要する.
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