2008 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト類似構造酸化物の熱電輸送特性に関する研究
Project/Area Number |
19740214
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
辺土 正人 University of the Ryukyus, 理学部, 准教授 (00345232)
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Keywords | スクッテルダイト構造 / 酸化物 / 熱電材料 / 新奇物性探索 / 熱電能 / 高圧力 |
Research Abstract |
前年度から懸案のCeCu_3Ru_4O_<12>の多結晶試料の合成は、酸素雰囲気や育成温度などの条件を調整したが、やはり反応そのものを進めることができなかった。原因は出発物質のCeが4価であるCeO2では困難であると判断できる。Ce3価のCe_2O_3を手に入れることができず(市販試薬にはないようである)、合成できないままになってる。そこで、他の希土類金属を用いて同型の化合物の合成を試みた。NdCu_3Ru_4O_<12>, Ndcu_3Ti_4O_<12>は原料の反応性がよく、求める結晶構造ができていることを確認した。他にSmCu_3Ti_4O_<12>, YbCu_3Ti_4O_<12>も同様である。しかし、XRDで確認したところ、未反応の原料と思われる不純物ピークが多数あり、単相試料が得られていない。今後、育成条件・方法等をさらに改良し、酸素量や詳細な構造解析をして、目的とする構造で測定できる試料が得られるように継続して研究を行っていく。 一方、熱電能測定の方は、昨年の微少試料での高圧下熱電能システムをさらに改良し、静水圧性の向上に努めた。基板に試料程度の大きさの穴を設けることで、試料の両側から圧力が掛かり、静水圧性が向上することがわかった。非常に静水圧性に敏感なEuCo_2P_2の圧力誘起価数転移を開発した熱電能測定システムで観測することに成功した。価数転移後に室温の電気抵抗で3倍、室温の熱電能で4倍に大きくなることがわかった。また、常圧下でのEuによる反強磁性秩序が価数転移に伴い消失し、代わって、高温側にCoと思われる新たな磁気秩序に伴う異常が観測された。Coの磁気秩序によりバンドの分裂が生じ、フェルミ面を形成するキャリヤの急激な減少が起きていると考えているが、詳細は今後のデータ解析を進めることで明らかにしていく。この結果は、ICMO9(磁性国際会議, カールスルーエ(ドイツ))で、測定技術に関してはAIRAPT-22(高圧力科学と技術の国際会議、東京)で報告する予定である。
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Research Products
(4 results)