2007 Fiscal Year Annual Research Report
定常法を用いた核磁気共鳴法による遷移金属化合物の研究
Project/Area Number |
19740217
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
木山 隆 Chiba Institute of Technology, 社会システム科学部, 助教 (20323389)
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Keywords | 物性物理学 / 強相関電子系 / 核磁気共鳴(NMR) / 磁性 / 定常法NMR |
Research Abstract |
核磁気共鳴法(NMR)は遷移金属化合物の電子状態を調べる方法として有効な実験手法の一つであるが、常磁性相での磁性原子の原子核は核磁気緩和時間が短いために現在でもパルス法では測定が困難である。そこで本研究では定常法(CW法)のNMR測定を行うことによりNMRスペクトルを観測し、遷移金属原子の軌道状態などに関する電子状態の情報を得ることを目的として研究を行っている。平成19年度は定常法による核磁気共鳴測定システム構築に向けて、システムの検討・設計および製作を進めた。基盤的設備である電磁石、励磁用安定化定電流電源、試料冷凍システムやこれらの設置に付随する冷却水循環設備、特殊ガス配管等を整備し、稼動可能な状態とした。また、高周波送受信系および制御系について検討を行い、パルス法送受信器との互換性の向上や今後の更なる感度向上に向けた改良が可能となる汎用性の高い柔軟な構成となるように設計を行った。例えば定常法NMR送受信器におけるブリッジ回路部については、信号発生器と合成器の多段構成にすることにより励起用高周波の漏れ成分を減少させる方式を考案し採用することにした。また、従来周波数変調または磁場変調を加えていた部分についても、送信信号の位相変調と高速バスを用いたPCによる逐次データ処理により代替可能であることから、こちらの方式を採用することにした。遷移金属化合物の磁性原子核におけるNMRスペクトルの解析方法については、簡単な系について配置間相互作用を取り入れた解析を行い、過去に報告されている実験結果と比較検討を行った。
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